蓮華寺では下宿を兼ねた。瀬川丑松が急に転宿を思い立って、借り ることにした部屋というのは、その庫裏つづきにある二階の角のと ころ。寺は信州下水内郡飯山町二十何カ寺の一つ、真宗に付属する 古刹で、ちょうどその二階の窓によりかかって眺めると、銀杏の大 木をへだてて飯山の町一部分も見える。さすが信州第一の仏教の 地、古代を眼の前に見るような小都会、奇異な北国風の屋造り、板 葺きの屋根、または冬期の雪除けとして使用する特別の軒庇から、 ところどころに高くあらわれた寺院と樹木の梢まで—すべて古めか しい町の光景が香の煙の中に包まれて見える。
莲花寺也可供外人寄宿。濑川丑松忽然决定搬迁到这里来,他定租的 房间是在楼上与厢房相连的拐角处。这寺院是信州下水内郡饭山镇二 十多个寺院中的一座,属于真宗教的古刹。站在楼上凭窗远眺,隔着 高大的老银杏树,能望见饭山镇的一部分。这个小镇保持着古老的风 貌,不愧为信州首屈一指的佛教圣地。房屋是奇特的北方式样,从木 板房顶到冬季防雪用的别致的披檐,以至随处可见的高大寺院和绿树 梢头,这一切古色古香的市镇景象,尽在香烟缭绕之中。