阅读理解

[二]

  幸福も不幸も、常に、いっそう幸福な状態といっそう不幸な状態との中間にある。絶対の幸福というものもなければ、絶対の不幸というものもない。もともと心持ちの問題で、しかも、その心持ちは、別に基準のない、他人の運命との比較や自分の過去との比較によるのであるから、それは当然のことである。他人から見てどんな幸福と見える中にも不幸はあり、逆に、他人から見てどんな不幸に見える中にも幸福はあるものである。人間とは、満足しない動物ともいえるもので、いかに他人から幸福そうに見えようとも、それにまったく満足しているという人間はあまりないし、それとともに、人間とは、希望に生きる動物なのであるから、いかなる不幸の中にあっても、何かの形で小さな幸福を見い出したり、作り出したりするのである。これは、人間の本来の姿なのである。人間とは、そういうふうにつくられたものなのである

  自分は幸福を求めるものでない、という者も、実際には別の形で幸福を求めているのである。世の常の、むなしい、移りやすい幸福に対して、不動の幸福、いっそう確かな幸福というものがあることを、人間はずいぶん古い昔から信じてきた。宗教も道徳も、そのむなしい、移りやすい幸福に対して、不動の幸福、いっそう確かな幸福を得る手段を教えるものであった。しかし、( ア )、幸福とは、何よりも、そのむなしい、移りやすいものであり、人々は、それを追い求めることに生活の意味を見いだしている。遠くから見ていると美しいが、とらえてみると何でもないものだ。これは、詩人たちのくり返し歌ったテーマである。

  しかし、その何でもないものが、果たして何でもないものであろうか。朝起きて子どもたちといっしょに食卓に向かう。夕方帰って一碗の熱いお茶を飲む。夜になって暖かい床にはいって眠る。こういう何でもないことが、それが失われたときになって、じつに大きな幸福であったことを多くの人々が気づいているはずである。むしろ、幸福の本体は、そういう何でもないと考えているところのものであって、遠くから見て美しいようなものにあるのではない。それが失われて、はじめて、そこにこそ幸福の実体があると悟るのも、幸福がいつでも遠くにあるものだという心理に基づくには違いないが、いったい実体が何かと悟ることは、ほんとうに幸福になる第一歩である。

单选题

文中「それは当然のことである」の「それ」が指している内容はどれか。

【正确答案】 D
【答案解析】
单选题

文中の「人間とは、そういうふうにつくられたものなのである」とはどういうことか。

【正确答案】 A
【答案解析】
单选题

文中の( ア )に入れる物はどれか。

【正确答案】 D
【答案解析】
单选题

文中に「幸福の本体」とあるが、筆者はそれがどこに存在するかと考えているのか。

【正确答案】 B
【答案解析】
单选题

この文章の内容に合っているものはどれか。

【正确答案】 A
【答案解析】