問題 1 2 次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、A、B、C、Dから一 つ選びなさい。
法の下での人間の平等は、憲法でも保障された人間の権利である。 しかし現実には、すべての人 間や人間活動に平等が保障されているわけではない。社会的、民族的差別の問題は大きい。 ここで はこうした基本的人権(注1 )にかかわる問題ではなく、職業、教育や所得に関する平等、不平等問 題を論じる。
例えば親の階層(職業や所得)の不利さが子供の学歴達成に支障(注2)となることを考えてみよ う。親の所得が高くないために、子供が大学進学をあきらめたケースはどうだろうか。奨学金制 度が充実しておけば、本人の能力と努力がある限り、大学進学の道は開かれている。わが国の奨 学金制度がさほど充実していないことは、アメリカとの比較で明らかである。わが国には機会の 不平等は残っているといえる。逆に、アメリカでは機会の平等への執着は強いといえる。 もっと もわが国においても、国民の所得水準が向上したことによって、親の経済力が原因となって進学 できないというケースは以前より減少しており、この問題の不平等性は低下している。
もう一っ例をあげてみよう。企業が新卒者(注3)を採用する時に指定校制度というのがある。 特定大学の学生のみに受験、面接の機会が与えられ、他の大学生にはその機会がない制度であ る。企業がこの制度を採用する理由は次の通りである。第一に、入学試験の難しい大学や、良い 教育をしている大学の学生は知的活動や生産性の上で優秀な学生という印象がある。第二に、そ れらの大学の卒業生が、企業で良い成果を上げていることをその企業が知っている。第三に、募 集してくるすベての学生を無制限に選考すればコスト(注4)がかかる。 これらを要約すれば(注 5) 、企業にとっては合理的かっ選択のリスク(注6)が小さい制度である。
ただし、ここで指定校制度の合理性を指摘することによって、 「受験戦争」を肯定する気はな い。 (中略)過 酷 な (注7) 「受験戦争」には負の側面が多いので、戦争をなくする必要性は高い。
ところで、特定大学以外の学生にとっては、就職試験の機会が最初から排除されているので、 機会の不平等と映るかもしれない。確かにその側面があることは否定しえないが、よく考えると その人達にも特定の大学の受験の機会が高校生の時にあったわげで、機会の平等が完全に排除さ れていたとはいえない。実際にその大学を受験したかどうかは問題ではない。 しかし高校生にま で企業に指定校制度があることを知っている、 と期待するのは酷である(注8) 。機会の平等をこ のように考えてみると、意外に複雑な原理なのである。
機会均等の原理を実施することは容易ではないが、理想として常に念頭のおかれる(注9)ベ き原理である。すべての意欲のある人には、参加と競争の機会が与えられることが望ましい。教 育の機会、仕事の機会、就職の機会、昇進の機会、人生上の様様な活動において多くの人に平等 な機会が与えられた末に、参加者が競い合うこととなる。競争の結果勝者と敗者が出ることは仕 方がないことだし、勝者にも順位づけが行われることもやむをえない。
(橘木俊詔『日本の経済格差』岩波書店による)
(注 1 ) 人権:人間が人間として当然持っている生命、 _ 由、名誉などに関する権利
(注 2 ) 支障:障害、 さしつかえ
(注 3 ) 新卒者:その年に学校を卒業したばかりの人
(注4 ) コスト:費用
(注 5 ) 要約する:要点をまとめて短く表現する
(注 6 ) リスク:危険
(注 7 ) 過酷な:非常に厳しい
(注 8 ) 酷である:厳しすぎて無理がある
(注 9 ) 念頭におく:意識する、考慮する
第 2段落の内容と合っているものは、 どれか。
問い和第二段的内容一致的是哪一个?
正确选项 A : 在日本,由于父母没有足够的经济实力导致孩子不能升学的情况减少了。
关键句: 「国民の所得水準が向上したことによって、親の経済力が原因となって進学できな いというケースは以前より減少しており」 (随着国民收入水平的提髙,由于父母的经济实力的原 因导致不能升学的情况比以前減少了。)
选项 B的 后 半 部 分 是 「進学できないケースが依然として多い」 (不能升学的情况依然很 多),与文章观点不符。由文章中的「わが国の奨学金制度がさほど充実していないことは、アメ リカとの比較で明らかである」 (通过和美国的比较可以清楚地看出我国的奖学金制度并不那么完 善 )可知,选项C的后半句错误。由 「わが国には機会の不平等は残っているといえる。逆に、ア メリカでは機会の平等への執着は強いといえる」 (可以说我国仍有机会不平等现象,相反,在美 国,可以说人们对机会的平等是非常执着的),说明美国应比日本重视机会的平等,可知选项D的前 半句错误。
指定校制度の特徴として、筆者の説明と合うものはどれか。
問い下列关于指定校制度特点的说明与作者的说明一致的是哪一个?
正确选项D : 因为只有被认为有优秀学生的大学里的学生才能够參加招聘,所以企业能够以低 成本挑选到合适人才。
关键句: 「企業にとっては合理的かつ選択のリスクが小さい制度である。」 (它是一个对企 业来说,既合理而且在选择上风险又小的制度。)
其余三个选项在文章中都没有提到。
校の階段にまでさかのぼって考えた場合、指定校制度と機会の平等について筆者はどのよ うに評価しているか。
問い作者是怎样从高中生的角度来评价指定校制度和机会平等的?
正确选项D : 任何髙中生都可以考指定校大学,但 (他们)大概都不知道指定校制度,所以无 法说机会是平等的。
关键句: 「しかし高校生にまで企業に指定校制度があることを知っている、 と期待するのは 酷である。」 (可是期待高中生知道企业有指定校制度未免太苛刻了。)
选项A与文章内容相差较远。选项B说 「高校生は指定校制度があることを知ったうえで大学 を受験している」 (高中生在知道有指定校制度的情况下参加大学入学考试),这是错的。选项C 说机会不平等是由于「すべての受験生が合格できるわけではない」 (并非是所有的考生都能及 格 ),与文章内容无关。
筆者がこの文章で最も言いたいことは、
問い哪一个是作者在这篇文章中最想说的?
正确选项C : 虽然机会平等是复杂且难以实现的,但不要忘记应该在就业、受教育等方面赋予 所有人平等的机会。
关键句: 「機会均等の原理を実施することは容易ではないが、理想として常に念頭のおかれ るべき原理である。」 (机会均等的原则实施起来并非易事,但是作为理想,却是应该经常放在心 上的。)
选项A虽然在文章第一段句首有所提及,但是这一段的最后却是「ここではこうした基本的人 権にかかわる問題ではなく、職業、教育や所得に関する平等•不平等問題を論じる」 (这里论述 有关职业、教育和收入等方面的平等、不平等的问题,而不是有关这种基本人权的问題),由此可 知选项A是错项。选项B意 即 “日本国民收入水平的提高,使得有关职业、教育和收入等的不平等问 题减少,但是却使得社会、民族的差别问题变得严重”,而文章通篇也未论述「社会的•民族的差 別の問題」,所以是错项。选项D意 思 是 “现代社会基本上是一个竞争社会,所以竞争的結果是不 得不分出胜者和败者,胜者也要排出名次 ”这并不是作者在本文中最想说的话,而是社会现实。