問題10  次の(1)から(5)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なもの をA.B.C.Dから一つ選びなさい。

（1）

「人生は楽しければそれでいい」 という人がいる。 「生き甲斐（注1 )がない人生に意味はない」 という人もいるだろう。 「どんなに苦しくても生き抜くことが大切」 「義 （注2 )のためには命も捨てる」など、人の意見は様々だ。各人各様に人生をとらえている時、人はすでにその人の哲学を生きている。
世の中にはあまりにも多様な（注3)哲学があり、他人と議論してみるとそのことは如実に（注4)わかる。そのようなとき、「それにしても本当のところはどうなっているのか」 と考え始めたとする。
本当の哲学が始まるのはその時だ。

(貫成人『哲学マップによる』）

(注1 ) 生き甲斐：生きる意味
(注2 ) 義 ：正しいとされること
(注3 ) 多 様 な ：いろいろな
(注4 ) 如 実 に ：はっきり

筆者の言う「本当の哲学」 とは、 どうのようなものか。

（2）

ナマケモノは一日中、木にぶら下がって、ゆっくりと動きながらくらしている。睡眠時間は一日約20時間で、 トイレはわずか8 日に一回。その名のとおり、 とてものんびりとした動物だ。おまけに、ぶら下がったままあまり動かないために、体毛には動物の一種であるソウ類がはえてしまっている。 しかし、実はこのソウ類の緑色は、森の中では保護色（注）になっている。また、あまり動かないことで、余分なエネルギーを使う必要もない。ナマケモノは、ただのなまけ者ではなく、 とても合理的な生き方の動物なのだ。

(面白自然学会編『知ってなるほど！面白とリビア生物編』による）

（注）保護色 ：動物か敵に見つからないようにするための特別な体の色

ナマケモノの「合理的な生き方」 の説明として、適切なものはどれか。

（3）

「気のおけない人」 とは、気を遣わなくてもよい相手、遠慮したりせずに気楽に付き合える人のことです。 「おけない」 という否定表現イメージからか、 「気のおけない人」を、気を許せない人、油断できない相手と勘違いしている人がいますが、この場合の
「気」 とは、 「気 を 遣 う （注）」の 「気」 と考えると、わかりやすくなります。つまり気を遣うことをしなくて良い相手ということになります。

(大橋敦夫監修「そうだったのか日本語」 『kadan』冬号2007による）

(注 )気を遣う： 「気を使う」 と書くこともある

「気のおけない人」の例として適切なものはどれか。

（4）

子供が勉強しないでゲームばかり。親のあなたはどうしますか。きっと怒るでしょうね。
「遊んでないで勉強しなさい」
でも、それでも子供が勉強しなかったら、あなたはもっともっと大きい声でこう言うでしょう。
「勉強しろって言っているのが聞こえないのか！」
しかし、それでいいのでしようか。
実は、子供が勉強しないから怒るというのが問題なのです。 というのは、子供は、あなたに怒られないように、ある程度は勉強して見せるようになるからです。それは、勉強とは言えないのではないでしようか。
そしてもう一つ。あるフランスの哲学者は次のように述べています。
「我々は怒り（注1 )のために手をあげる（注2)のではない。手をあげたことによって怒りが倍になるのである。」
こ の 「手をあげる」 を 「大声で怒鳴る」 ,に置き換えれば、もう一つの問題点はおわかりになるでしよう。

(注1 ) 怒 り ：怒ること
(注2 ) 手をあげる：ここでは、たたいたり、なぐったりする

筆者の言 う 「もう一つの問題点」 とは何か。

（5）

下のグラフは、小学校の五年生から中学校の三年生までの子供たちを対象に、よく遊ぶ友達の種類について、学年別に複数回答で答えてもらった結果をまとめたものである。