41.「こんな田舎で、退屈しないか」と都会から訪ねて来た友人に言われて、「私たちはただの一度として退屈を覚えたことがない。退屈している暇はない」と記しているのは、イギリス人のビーター・メイル(彼得梅尔)だ。この人はロンドンの広告業界でいいエグゼクティブとして働いていたのが、脱サラをして、南仏のプロヴァンス(普罗旺斯)に移り住んだのである。そこでの一年間12か月を色彩豊かに描いたのが、「南仏プロヴァンスの12か月」であり、これは楽しい読み物だ。
ピーター・メイルは先ほどの文章に続けて、「フランスの田園生活は毎日が興味ある発見と楽しみの連続である」と述べている。
42.確かに、この書物にはプロヴァンス地方の田舎の生活の、まことに変化に富み、また充実したありさまが、食生活、気候の変化、人々の気質と人間関係、職人の仕事様子、畑仕事など生々しくユーモアに記されている。
プロヴァンスでは石を投げればグルメに当たるとピーター・メイルはいうが、その味覚に対する徹底した民度の高さは、「床磨きのムッシュー・バニヨーが星三つのレストランに軒並み辛い点をつけている」ことに端的に示される。43.この渡り職人は石の床を磨く仕事をしているが、毎日、正午になるとすぐに仕事着を脱いで身支度を整え、土地のレストランへ出かけてたっぷり2時間を昼食に当てる。「男と女の別なく食べることに異常な執念を燃やす人々」は生きる楽しみをどう味わうかよく知っている。
44.「知恵の真珠は時に思わぬところから湧いて出る。ある国では人々はスポーツに熱狂し、また、ある国では政治に夢中になる。それと同じで、フランス人が料理に情熱を燃やすことを私たちは思い知らされた。」とイギリス人夫妻が述べている。
45.それにしても、例えば肉屋は肉を売るだけではない。後ろに客の列が長く伸びるのもお構いなしで、その肉をどう料理して、盛り付けはこう、付け合わせは何、酒はこれこれ、とことこまかに講釈しないと気がすまないという。まあ、私自身の最大関心事であるグルメ部分の引用が多くなったが、この本には「ノルマルマン」という言葉の示す時間観念や、挨拶のキスの大変さや役所の書類の煩雑さなど、フランスの田舎の生活が南仏の料理のこってりとしたソースの濃さを思わせる形で盛り込まれてある。久しぶりに田舎の生活を感じさせてくれた。
英国人彼得梅尔曾记录到:来自大都市的友人造访时对我说“生活在这样的乡下,不觉得无聊吗”,自己却回答说“我从未感觉到过无聊,因为根本没有无聊的时间”。
确实,书中从饮食生活、气候变化、人们的气质以及人际关系、手艺人的工作场景、农活场景等多方面,生动并且幽默地记录了普罗旺斯地区乡间生活充满变化、丰富充实的样子。
这位流动工匠,是做打磨石制地板的工作,每天一到正午,就马上脱去工作服,换上一身行头,出门到田间的餐馆足足吃两个小时的午饭。“无论男女,都对吃有着强烈执念的人们”都深知如何体味生活的乐趣。
智慧的珍珠,有时会从意想不到的地方涌现出来。某些国家的人们对体育痴狂,而有一些国家的人们热衷政治。与之相同,法国人也让我们感到他们对料理的热衷。
即便如此,比如肉铺也不仅仅是卖肉。无论后面的客人排了多长的队伍,老板也不会介意,他要是不把这块肉如何做菜,如何拼盘,如何配菜,如何配酒等等详尽解释一番的话就放心不下。