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[一]

  世界的に見れば、たいして広くない国土に、日本ほど多様なタイプの森が存在するところは少ないといわれている。森林が多様であるということは、樹木の種類の多さの証明である。豊かな森林とは、そうした多種類の木々によってつくられる様々な恵みを持っている。そしてそれは、その恵みによって、鳥や獣や小動物、昆虫、菌類、さらに多くの植物たちが生きてゆくことのできる巨大な生命体といっていいだろう。人間は、その自然の恩恵を受けてきたのである。

  何千年、何万年という歳月の、森と人との関わりが、今の人間の文明や文化の基礎となったのはいうまでもないが、ここに森林の多様性がなかったならば、今の暮らしにある複雑で多様な文化はできなかったに違いない。

  だが、実際に日本の森を旅してみて、その自然の内容の乏しさに落胆せざるを得なかった。戦後、特に高度経済成長時代の、数字上の生産性を重視する政策によって、今、日本の本来の森は消し去られようとしている

  森林面積は確かに広い。だが、その森林の内容はスギ(杉木)、ヒノキ(扁柏)、カラマツ(落叶松)のみと言えるほど、単調な人工林の連なりである。あまりに安易な人工林が多い。生き物の暮らすことのできない、建築材を得るための偏った生産の場となってしまっている。もちろん人工の森は必要である。人の手による芸術に近い森林に出会えることもある。

  ヨーロッパの自然を見ると、それがさらに鮮明である。もしヨーロッパの自然が豊かだと感じるならば、それは農地がつくり上げた伝統的な美である。見るべき本来の自然は国立公園の一部にしか残っていない。だが今の日本では、国立公園内ですら森林の伐採が続き、日ごとに自然は失われている。

  確かに、いま都会で生活する人にとって、森林は生きるための切実な自然とは感じられないのではないだろうか。鉢植えの緑、公園の木々、歩道の花壇といった身の回りの人工的な自然に慣れた目には、緑とは人が面倒を見なければ駄目になってしまうのだ、という感覚が支配している。これでは自然と人間の関係が、完全に逆転した発想が生まれてしまう。いま、再び森へ出かけ、森と人の未来を見つめてみたいものである

单选题

文中の「それ」とは何を指すか。

【正确答案】 C
【答案解析】
单选题

文中の「自然の恩恵」とは何を指すか。

【正确答案】 D
【答案解析】
单选题

文中に「本来の森は消し去られようとしている」とあるが、それはなぜか。

【正确答案】 D
【答案解析】
单选题

第五段落のヨーロッパの自然を取り上げた意図は何か。

【正确答案】 D
【答案解析】
单选题

文中に「いま、再び森へ出かけ、……ものである」とあるが、それはなぜか。

【正确答案】 C
【答案解析】